研究室について

研究室は、中国の政治、外交、社会、経済問題に関心を持つ学生、あるいは日本と中国、台湾との関係を中心とした東アジアの国際関係に関心がある学生に開かれています。

私自身は、以下の2つの点に関心をもって研究に取り組んでいます。一つは中国共産党による一党体制の生命力です。従来、権威主義国家の政治は不安定であり、国家の経済発展と安定を実現するためには自由民主主義の政治が条件とみなされてきました。しかし、中国政治はそうした展望とは異なる現実を示しています。なぜ共産党による一党支配は持続してきたのでしょうか。この問いを解き明かにするために、現代中国の政治を形づくっている政治制度に注目しています。その際、比較政治研究の分析の枠組みはどの程度中国の政治制度を説明できるのか、中国の政治研究はどの程度中国を含む権威主義国家の政治制度の理解に貢献できるのか。この視点を重視しています。

いま一つの関心は、中国の政策決定過程です。その中心的な問題関心は、中国の国内政治が中国の対外行動の説明にどの様に役立つのか、にあります。経済発展とともに変化する中国の政策決定過程の理解をつうじて、中国政治と中国外交の変化を論じることに関心を持っています。

現在(2024年9月)、8名の博士課程、6名の修士課程在籍の学生、8名の学部学生が研究室に所属しています。

博士課程在籍者の研究テーマ

  • 中国共産党指導部の政策過程における諮問集団の役割(1977-1985)ー非公式政治の視点に基づいてー 

 

  • Research on the Chinese Cultural Soft Power Exportation and Strategies. 

 

  • 中国の政策決定過程中におけるニュース報道の役割 

 

  • 中国共産党の宣伝戦略と一党支配体制の安定性に関する研究 

 

  • 戦後中国東北地方における日本人留用者の研究


  • How China's Bureaucratic Institutions Enhance Bargaining Power: The Informal Alliance Between the Institution for Environmental Protection and Peripheral Actors.


  • 中国「分税制」導入をめぐる中央地方関係 -中央政府と省レベル地方政府間の相互作用(1990〜1994年)



修士課程在籍者の研究テーマ 

  • 中国のばらばらな権威主義における1990年代の政策決定過程の変容 ―全人代専門委員会の設立と議論の場としての全人代― 

 

  • 中越戦争おける鄧小平の外国訪問の意味  ーパワー・トランジション理論の解釈ー


  • Analysis of the Impact of the Chinese Government's Authoritarian Environmentalism Model on China's Renewable Energy Policy.


  • 商会はなぜ「脱鈎改革」の政策決定に影響を与えることができたのか 


他4名

共同研究活動

■研究代表・主査(実施中・過去も含む)


  • 中国一党支配体制の形成と変容:歴史的制度論からの考察 | 2015 – 2018年 | 加茂具樹(慶應義塾大学) | 科研費 基盤研究(B)
  • 現代中国における民主制度の政治的役割に関する研究 | 2014 – 2017年 | 加茂具樹(慶應義塾大学) | 科研費 挑戦的萌芽研究
  • 現代中国の政治参加に関する研究:体制内の合法的な政治参加と政治社会の安定 | 2011 – 2013年 | 加茂具樹(慶應義塾大学) | 科研費 若手研究(B)
  • 中国における対日歴史認識および歴史研究動向に関する緊急調査-政府間共同研究・首脳交流を受けて- | 2007 – 2008年 | 加茂具樹(慶應義塾大学)←小島朋之先生(慶應義塾大学) | 科研費 特別研究促進費
  • 中国の政治空間における「議会」の存在位置と機能の検証:人民代表大会と政治協商会議 | 2007 – 2009年 | 加茂具樹(慶應義塾大学) | 科研費 若手研究(B)



■研究分担者(実施中・過去も含む)

  • 現代中国の権威主義体制に関する総合的研究-ガバナンスの正統性をめぐって | 2020 - 2023年 | 江口 伸吾先生(島根県立大学) | 科研費 基盤研究(B)
  • 中国のイノベーションとその社会実装に関する政治経済的分析 | 2020 – 2023年 | 梶谷 懐先生(神戸大学) | 科研費 基盤研究(B)
  • 現代中国の政治エリートに関する総合研究:選抜と競争の在り方、ガバナンス能力 | 2018 – 2022年 | 唐 亮先生(早稲田大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 権威主義とポピュリズムの台頭に関する比較研究 | 2018 – 2022年 | 宇山 智彦先生(北海道大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • アジアにおける独裁と民主主義の歴史的起源 | 2018 – 2021年 | 粕谷 祐子先生(慶應義塾大学) | 科研費 基盤研究(B)
  • 現代中国における腐敗パラドックスに関するシステム/制度論的アプローチ | 2017 – 2022年 | 菱田 雅晴先生(法政大学) | 科研費 基盤研究(A)


  • 対中関係のアジア間比較:4要因モデルからのアプローチ | 2016 – 2020年 | 高原 明生先生(東京大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 社会主義中国の憲政論・憲政体制を再考する――20世紀中国憲政史の視角から | 2013 – 2017年 | 中村 元哉先生(津田塾大学) | 科研費 基盤研究(B)
  • 現代中国における所有権改革の基礎的研究-基層社会の政治社会学的考察を通して― | 2011 – 2013年 | 江口 伸吾先生(島根県立大学) | 科研費 基盤研究(C)
  • 中国共産党に関する政治社会学的実証研究ーー中南海研究(Ⅱ) | 2011 – 2015年 | 菱田 雅晴先生(法政大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 調和社会の政治学:調和的な発展政策の形成と執行の総合的研究 | 2010 – 2012年 | 高原 明生先生(東京大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 体制移行の比較研究:初期条件・移行のコスト・民主政の成熟度 | 2008 – 2010年 | 唐 亮先生(早稲田大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • エリート、ガバナンス、政治社会的亀裂、価値 | 2008 – 2013年 | 唐 亮先生(早稲田大学) | 科研費 新学術領域研究(研究領域提案型)
  • ボトム・アップの政治改革-社会変動期の中国における政治参加の総合的研究 | 2007 – 2009年 | 高原 明生先生(東京大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 中国共産党に関する政治社会学的実証研究 | 2007 – 2009年 | 菱田 雅晴先生(法政大学) | 科研費 基盤研究(A)
  • 中国における政治的社会的ガバナンスと制度形成に関する国際共同研究 | 2005 – 2007年 | 阿古 智子(学習院女子大学)←小島朋之先生(慶應義塾大学) | 科研費 基盤研究(B)